会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ 斎藤正明(著)
「お前はマグロ船に乗ってこい!」という業務命令でマグロ船に乗ることになった著者の経験談です。
想像とは違う船長、漁師の言葉が新鮮で、最近の新書の中ではランキングアップし注目を集めました。
(当時、著者はマグロの鮮度を保つ薬の研究をされていました。)
著者と同じく私にも漁師さんは気が短い、荒いといったイメージがあったのですが、驚くぐらい理性的な答えばかりで驚きました。まして、忙しい業務の中での質問に対しても、淡々と答えてる風景が見え、先入観の怖さも感じました。
マグロが捕れる日も捕れない日でも漁師のやる気が変わらないように見える事に機関長に質問すると …
「マグロが捕れんときこそ、感情をコントロールしぇんと人間ダメなんど。斎藤はそげーなこともわからんのか?本当にバカじゃのう」
これは、仕事だけでなく長期に渡って同じ人間と船の中で暮らしてきた知恵なんだんなと感じました。
著者が船には乗せてもらったが、鮮度保持剤を開発できなかったらと悩んでいると …
「結果にばかりこだわると、その途中にある、おもしれーもんや、役に立つことを見逃すんど。
(中略)
この途中にあるおもしれーもんは、後で役に立つこともいっぱいあるんど。」
雨がふっても、どのような状況でも、著者からみるとポジティブな答えが返ってくるので、ポジティブで有る方法を質問した時には … 晴れだけでも、雨だけでも大変だという話から
「『雨と晴れ』『海と空』『男と女』全部2つで1つじゃ。これはの、人の気持ちじゃて同じど。『前向きなとき』ばかりでなく、『後ろ向きなとき』も大事じゃ。後ろ向きになるちゅーのは危険を感じる能力ど。いつも前向きな人が船長やると、絶対むちゃをしよるから船があぶねーんど。それに後ろ向きになることがあるやつでないと、落ち込んでいる人の気持ちやらがわからんど」
真夏の暑いさなか、吐くために後部甲板に向かっていると、親方に会い、「暑いのぉ」と話しかけてきました。著者は「赤道ですからね」と返しました。
(中略)
船長は、次のように諭します。「あんまり素っ気なく返事をすると、話しかけにくいやつと思わるるど。(中略)あいさつで出鼻をくじかれると、次に何も話せめーが」
ここでは、コミュニケーションの知恵をしっかりと著者に伝えています。寡黙なイメージの漁師ですが、実は雑談上手です。それはマグロ漁場の情報収集の時も同じであるようです。
基本的に、「思うようにならない自然(海)に対する抗ストレス」と「狭い船で同じ人と暮らすコミュニーケション」に関してわかりやすく、非常に勉強になった一冊です。
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