2008/6/7 土曜日

町工場 強さの秘密 梅原勝彦(著)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 15:33:37

 【 目 次 】

第1章 驚異の記録~37年連続売上高経常利益率35%以上
第2章 町工場こそわが人生
第3章 短納期の秘密
第4章 これが利益を出す経営だ
第5章 成功するために必要なこと
第6章 日本のモノづくり再生計画

『驚異の記録~37年連続売上高経常利益率35%以上』とあるが、実はもっと凄い。37年間の利益率平均でいえば、41.5%、円高不況、バブル崩壊時でも35%以下にならなかったと。

本業は、工作機械の部品加工を手掛ける町工場。

インターネット・IT活用の合理的経営でなく、
高いリクルーティング能力もなく、
社員のモチベーションを引き出す最新のマネジメントもなく、
強力な営業もなく、
高収益を生む出す財務戦略もない

それでいてこの実績を生み出したのは?

利益の源泉は基本にあり……
三つの基本を愚直に実践
短納期・高品質・適正価格

これはどの企業でも解っている事でしょう。
「言うは易し、行うは難し」です。

●個別に見てみると、まず短納期

・短納期だけれど時間はかける
・大事なのは作業に取り掛かるまでの時間
・注文の約七割が当日に発送
・機械の稼働率には三割の余裕をもたせる
・短納期を実現できる最大の要因は社員のモチベーションの高さ

最大のポイントは、「大事なのは作業に取り掛かるまでの時間」

府中の本社で注文を受けてから、山梨の工場で作業にとりかかるまで、ものの5分とかからないのです。

具体的には下記の通り
注文は本社で電話かFAX。
注文伝票をFAXで工場に。
工場の事務員が伝票確認して、エアシューターにて現場へ。
現場担当者は、伝票を受取り資材置き場から材料選択し、
機械にセットして作業開始。
受注から生産までは非常にアナログ的です。
スピードに注視した方法だから可能だといえます。

工場での作業も、3歩歩くところを1歩にするにはなどの努力もあります。

「モノづくり」での手法ですのから、全ての業種に適応できるとは言えませんが、
結果からみれば、学ぶべき視点・手法ではないかと思います。

●次に高品質
これは、梅原氏の先見の明と言うか、志が第一ポイントだと言えます。
世界一の製品を作りたいとの志から、起業して職人3人だったが、当時2000万の工作機械を購入(現在でいえば、2億ぐらい)。
その後、すぐに3台追加購入。それに留まらず、必ず業界トップになるのだからと、社員4,5人の時代に工場用敷地5000坪を購入。

安定期に入った後も「絶頂期に次の手を打つ」との思いから、
コレットチャットにも一から着手して、現在は先発のカムと売上逆転。
次の事業として、再研磨事業も着手し取引企業4300社まで拡大。

全て、市場を分析して自社の強みで、1点集中の結果だと言えます。

第2のポイントは、社員モチベーションで、これは短納期にも繋がります。

社員重視、株主軽視の経営

これを生み出したのは、「3Kの職場で文句を言わず長い間働いてくれた社員」に対する梅原氏の素直な気持ちだと言えます。
上場した会社が、著作でこの文言を記載するのも凄いですが(笑)

その他のも、生きたマネジメントとして学べる要素が、実に豊富だといえます。
起業直後からの好業績を、労務管理にも適応し好循環をを継続させている点が素晴らしいと言えます。

・無駄は徹底的に省いているが、工場の蛍光灯などは格別に明るくしている。
・パートにもボーナス支給
  パートから取締役にもなっている
・立ち話が会議の代わり
  会議の時間は年間三〇分以下
・タイムカードはいらない
  管理せずに社員の良心に任せる
・支給日前に退職した社員にもボーナスを支払う

●最後に適正価格

・売値には不況のときのしのぎ代も織り込んでおく
・不況時には安易に価格を下げるな
・機械の稼働率には三割の余裕をもたせる

三割の余裕で急遽の注文(単品も含め)も対応でき、
当然価格も割高に設定できると言うのが、発想の転換ですね。

●読書
社長業で忙しく、それ程読めませんがと断っていますが、
それでも年間200冊程度は読んでいるとの事です。
学びの材料として勧めています。
余談ながら、『島耕作』シリーズもお気に入りだそうです。
(笑)

細々と書いたように思いますが、まだまだ書きたい内容があった本です。
経営としてのみならず、人間的な側面からも学べた是非、一読して欲しい良書。

2008/6/2 月曜日

鍵山秀三郎氏 (師範塾講義) 2008年6月1日(日)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 22:46:01

師範塾 第7期生 第10講座 (2008年6月1日(日))での、鍵山秀三郎先生の講義に出席しました。イエローハット創業者であり、創業当時からの掃除で多数の人々の共感を呼び、「日本を美しくする会」の相談役でもあります。

出席にあたり、改めて「ひとつ拾えば、ひとつだけきれいになる」を読み、清廉潔癖な思想に強く感動しましたが、講義での鍵山氏の話は、静かで暖かく、本を読んだ時以上に強烈な印象を受けました。

美徳も度を超えると、悪徳になりうる。
  ・忍耐 - 怨恨
  ・謙譲 - 卑屈
  ・調和 - 妥協
  ・勇気 - 粗暴

美徳は何よって美徳として踏み止まっているのか?
それは、「人への強い(熱い)愛と思いやり」である。

生い立ち、独立
両親からの教え - 掃除
 貧しかったが、惨めにならなかったのは、汚い所を掃除で綺麗にしていたから。

自動車関連会社に入社
 来る日も来る日も掃除し、3年して社長から認められるようになった。
 5年後に待遇もよくなった。
 ただ、その会社だけでなく業界の販売方法に納得できなくなっていた。

独立
 理想を具現化したい、「理想のような株式会社」が夢

学び
 鬼はいないが、鬼のような人はいる
 仏様はいないが、仏のような人はいる

 10年偉大なり、20年恐るべし、30年一つの歴史となる

継続できた理由
 ・今までの努力が無駄になる
 ・継続は工夫する事である。だが、その前に愛する事が必要。
  しかし、愛するのは難しい。だから工夫しなさい。

教育について
 ・教育とは流れる川に文字を書くよう儚さだ

掃除について
 ・掃除はその会社を語る、無言の表現であり、その人の人柄を移す無形の鏡である

人、学校、会社、組織などは、年を経れば美しくならないといけない

心の開拓、頭脳の錬磨、実践力の養成
 頭脳の錬磨 - 記憶は思考の手がかりである、思考は記憶を活用する

記憶力が衰えるのは、感動しなくなる為。
(外的刺激からの)感激でなく、(内的発生の)感動を!

大事な事 - めんどくさくて、手間がかかって、できればやりたくない事である。 

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掃除に関して思想・概念だけでなく、方法、実例等々詳細に記されています。

かの有名な桜井章一氏との共著で、これは異色と言えました。

ごく最近では、陽明学に関するこの書籍でも鍵山氏に関して記述されていました。

2008/4/14 月曜日

裸でも生きる - 25歳女性企業家の号泣戦記 山口絵理子(著)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 22:14:24

情熱大陸 - 山口絵理子(バックデザイナー)
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【 目 次 】

第一章 原点。学校って本当に正しいの?
第二章 大学で教える理論と現実の矛盾
第三章 アジア最貧国の真実
第四章 はじめての日本人留学生
第五章 途上国発のブランドを創る
第六章 「売る」という新たなハードル
第七章 人の気持ちに甘えていた
第八章 裏切りの先に見えたもの
第九章 本当のはじまり
エピローグ 裸でも生きる

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アジア最貧国 バングラディシュで、 「自立したビジネスを立ち上げて、この地に光を灯したい」との思いから起業した著者の苦悶苦闘・号泣まみれのストーリー。

とにかく、粘着力と言うか起き上がり力が凄い。
これを読んで、感じるのは『号泣』の描写ばかりである。
(数えてはないが、10回以上の泣いた描写があるはずです。)
と同時に、感じたのは異国でも日本でも、べらぼうな孤独感でした。

賢い人間から見れば、「思いつき・思慮不足で使命感からだけの直情行動」ばかりですが … しかし、強い。
賢い人間は防御や自己保身(これはこれで社会生活には必要)で乗り切るだろうが、逆に絶対にここまで強くない。
思いこみと行動から発する行動で、痛い目に会うばかりだが、失敗に挫けない。

プリミティブなSomethingを、ひしひしと感じたました。
それらを、決定的に表している言葉がこれです。

周りの反対の声の中、私が拠り所にしたことは、
たとえば尊敬する人の言葉でも、
  素晴らしい本でもなんでもなく、自分自身だった

基本的に、生命力とは自己肯定力だと常々思っていたので、ある種納得できる。

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しかし、違う視点で読んでも、多くの学びがある。

多くの欺き・誹謗・嘲笑・叱咤の度に泣いていた、山口さん。
ここは結構、重要なポイントであると思えるし、実際、意味があったと言える。

山口さんはその言葉に対して行動してきている。

・援助的な意味でなく、ビジネスとして誇れる商品を供給する。
・品質向上の為、職人修行を思いつく。
・騙され続けて、ビジネスの仕組みづくりに目ざめた事。

これは、一人では思いつかない”現実への気づき”の部分であるといえる。

また、山口さんが不撓不屈であったのは確かだが、しかし、同時に山口さんが学んだ事が支えになっていたのも事実

・ジュード(天然繊維)を知って、
   「途上国発のブランドを創る」との使命感。
・「この地に希望の光をともしたい」という会社ミッション。

この理念は、大学時代での学び、ODAやアメリカでの経験が礎になっているだろうから。

自己肯定力は、様々な経験をしたり、種々の価値観を知る事によって弱まる(迷う)事がある。
だからこそ、多くを学び、本物を学ぶ事によって自己肯定力を形造る必要がある。
(「現場、現物、現人」、もちろん本、DVD、etc ・・・)

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最後に書かれていた言葉

ただ、生きるために、生きていたバングラデシュの人。
  その姿を見ていたら、問いかけられているようだった。

「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、
           やりたいことをやらないんだ?」

今日も、ここまで、あなたの貴重な時間で、
“「本学」講座” をお読みいただき、有難うございます

2008/3/12 水曜日

社長でなくとも読むべき「社長の時間の使い方」 吉澤大(著)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 22:01:10

吉澤大氏のブログ : “全米が泣いた!起業家のためのへそまがりワンポイントアドバイス”

この記事を読んでいただく前に、注意点が1点。
書名は「社長の~」になっていますが、社長でなくとも会社組織に属する人には有用な著作だといえます。
会社経営といった点だけでなく、組織運用に置き換えて考えるとヒントだらけと言えます。
また、会社とは?がおぼろげながらも俯瞰できると思います。
(社長のつもりで読んでいただいてもいいと思います … (笑))

【目次】
第1章 なぜ、社長の時給は下がりつづけるのか?
第2章 社長は昼にランチを食うな!
第3章 まず、効率よく稼ぐ手法を考案・選択する
第4章 できる社長は「他人にやってもらう」しくみ作りに時間をかける
第5章 「人脈形成」「情報・知識習得」も時間効率よくこなす
第6章 自由に動ける「社長ならでは」の時間管理術

著者の経歴ですが、以下に記しておきますので、参照ください。 

吉澤 大(よしざわ まさる)氏
1967年生まれ。税理士・中小企業診断士・宅地建物取引主任者・システムアドミニストレータ。
明治大学商学部卒業。國學院大學大学院経済学研究科博士前期課程修了。
國學院大學公開講座講師、本郷公認会計士事務所(現 辻・本郷税理士法人)勤務を経て、
1994年、当時26歳で吉澤税務会計事務所開設。
現在、同事務所代表、株式会社トータル・マネジメント。コンサルティング代表取締役、
アライアンスLLPパートナー。(From Amazon)

○第1章 なぜ、社長の時給は下がりつづけるのか?

固定費とモチベーションの関係が抜群に面白い視点だった章です。

通常、会社の「メシの種」となった業務とは定型的な業務であったりルーチンワークである。
定型化した業務は、意識的であれば効率化されて固定費もブレが無くなるはずである。
しかしそういった定型業務はモチベーションが上がりにくく、その打破の為、新規業務と拡大するパターンがある。
新規業務は、立ち上げ時は非効率で固定費がかさむ。
結果、会社・業務の拡大とともに固定費はスパイラル上昇しがちである。

固定費と言えば、一般的には”削減”手法で話は進むのですが、「社長自らのモチベーション・アップの為に」新規業務に挑むことが、固定費増加の原因と関連づけされていた点が新鮮でした。
その罠から抜けるにはバランスが重要で、グーグル等の例をあげています。

○第2章 社長は昼にランチを食うな!

社長の時給と、社長の業務を対比させる視点からです。
分り易い例で、移動を電車を使用するよりタクシーを使用する法が費用対効果の点で有用であるなど。
(タクシーの中で打ち合わせができる、資料を読める、ビジネスプランを考慮できる等)

その他にも切り口を変えた例が出てきて、最終的に社長が使うべき時間を3段階に分けています。

○第4章 できる社長は「他人にやってもらう」しくみ作りに時間をかける

個人的にはこの章が、キモでした。ヒントの塊のような章です。
結論を端的に書けば、以下のとおり。

固定費を下げるには、労働生産性を上げるしかなく、その手法はマニュアル化。

な~んだ、そんなの分っていると思った人は結構いるかもしれません。
ここから詳細な論に入っていきます。 その詳細がキモです。
一つの例として、マニュアルの考え方です。

マニュアルとは、自分で問題を解決する手法を見つける為の基礎知識を提供する。

マニュアルに関して効率化といった事だけではなく、自己成長のヒントになるといった考えで、
思いもつかなかった切り口でした。

他にも行動科学マネジメントと同様の考えもあります。
ざっくり言えば、優秀な20%の底上げより、平均的な80%の底上げの方が組織的には有効である。
成果主義で20%を煽るのではなく、組織としての側面からで見た場合です。

○第6章 自由に動ける「社長ならでは」の時間管理術

最適品質(制約なく限界まで高めた)と経済品質(与えられた条件の中で最適)

この場合は、品質についての注意点なんですが、最適品質であろうとする原因が自己満足である場合があると。

これに対する対応としては

顧客要望の優先順位をつけ、より効率的に要望実現の為、多くのデッドラインを引く。

要は、優先順位決定で本質を見極め、デッドラインで経済品質を高める。

イノベーションでも似た事を読んだ覚えがあります。
顧客の満足度を高める為、完全な対応を続ける事で既存顧客には高い評価を得たが、新たなイノベーションへの機会損失を被り、遅れをとったと。
この辺りも、結構判断が難しいですが、結局バランス感覚や状況判断がポイントになると思います。
(着眼大局、着手小局ですか)

いくつか印象に強い点を書きましたが、社長業務での悩みどころへのヒントが多い本書でした。

最初に記しましたが、社長でなくとも起業を考えている方、組織運営のヒントが欲しい幹部、会社への理解を深めたい中堅・末端社員全てが読んでいい著作でした。
アマゾンでは、数回の在庫切れが発生したり、「社長用」と取られた感もあるのではないかと思いますが、、もっとランクアップされるべき本といえます。

今日も、ここまで、あなたの貴重な時間で、
“「本学」講座” をお読みいただき、有難うございます。 

2008/3/3 月曜日

はじめての課長の教科書 酒井穣(著)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 0:37:38

著者 酒井穣氏のブログ  NED-WLT.exblog.jp

ついに、アマゾントップセラー100にて1位となりました。(3/2 夜時点)
組織票的なものでいきなりジャンプアップした訳でなく、有名ブログのいくつかで絶賛された結果、じわじわと上がってきたました。

著者には初めての著作であり、ブログでの紹介された影響もありますが、一番はコンテンツが卓抜していた結果でしょう。
このあたりは、勝間和代さんのブレイク時とにています。

( 目 次 )

第1章 課長とは何か?
 ①課長になると何が変わる?
 ②課長と部長は何が違う?
 ③課長と経営者は何が違う?
 ④モチベーション管理が一番大切な仕事
 ⑤成果主義の終わりと課長
 ⑥価値観の通訳としての課長
 ⑦課長は情報伝達のキーパーソン
 ⑧ピラミッド型組織での課長の役割
 ⑨中間管理職が日本型組織の強み

第2章 課長の8つの基本スキル
 ①部下を守り安心させる
 ②部下をほめ方向性を明確に伝える
 ③部下を叱り変化をうながす
 ④現場を観察し次を予測する
 ⑤ストレスを適度な状態に管理する
 ⑥部下をコーチングし答えを引き出す
 ⑦楽しく没頭できるように仕事をアレンジする
 ⑧オフサイト・ミーティングでチームの結束力を高める

第3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム
 ①企業の成長を阻害する予算管理
 ②部下のモチベーションを下げかねない人事評価
 ③限られたポストと予算をめぐる社内政治

第4章 避けることができない9つの問題
 ①問題社員が現れる
 ②部下が「会社を辞める」といいだす
 ③心の病にかかる部下が現れる
 ④外国人の上司や部下を持つ日がくる
 ⑤海外駐在を求められる
 ⑥違法スレスレの行為を求められる
 ⑦昇進させる部下を選ぶ
 ⑧ベテラン係長が言う事を聞かなくなる

第5章 課長のキャリア戦略
 ①自らの弱点を知る
 ②英語力を身につける
 ③緩い人的ネットワークを幅広く形成する
 ④部長を目指す
 ⑤課長止まりのキャリアを覚悟する
 ⑥社内革命のリーダーになる
 ⑦起業を考えてみる
 ⑧ビジネス書を読んで学ぶ

あとがき
参考文献

書籍を買うに当たっての価値判断は、題名・表表紙の見目・帯の台詞で第一判断。
そして、”まえがき”と”目次”で第二判断。

卓抜した著作は、”まえがき”においていくつかの特徴がある。
それは、下記の事項についての記載があると同時に、その内容も秀でている。
 ・本書のフィロソフィー(哲学)
 ・本書のミッション(使命)
 ・本書のモチーフ(主題)や目的
 ・事によっては結論、もしくは、”まとめ”

その”まえがき”に沿ってコンテンツが充実しているかどうかは、目次を見ればある程度、判断できると言えます。

本書では、その”まえがき”に、斬新な視点を呈示して、本書の目的としています。

欧米には、経営者(支配者)と従業員(被支配者)の概念しかない。(二元論)
他方、日本は経営者(親分)と従業員(子分)といった概念のみならず、中間管理職(先輩)と末端社員(後輩)の概念も存在している。(三元論)

世界にほこるべき日本型ミドル・アップダウンのマネジメント

海外の企業風土を知らぬ私のような田舎者には、非常に新鮮な切り口である。

もう一点、著者が調べると、「課長にとっていいテキストがない」と書かれていました。
末端社員向けの実務ノウハウ本や経営者向けの専門書はあるが、中間管理職向けの著作が少ないと。
実際、自分でもアマゾンで検索してみましても、有用(価値を認められている)な著作は殆んど見当たらない状況です。
そういった意味で、マーケットで見落とされた真空地帯だったといえます。

内容的には、目次を見ていただければ分ると思いますが、『課長の教科書』といった題名どおり、課長職に関しての全般が記載されています。
しかし、画一的なマニュアル本ではなく、現実の会社生活で起こりうる事に対する思考・対応が記されています。

第一章では、課長とは何かをを明確にした上で、モチベーション管理が一番大切な仕事としています。
通常は、実績達成といった目的志向ですが、スタート・プロセスを一番に上げています。
また、リーダーシップとマネジメントも明確に定義し、課長はマネジメントよりの職務であるとも記しています。
初めて課長になった時など、会社内規などにはない立脚点を把握する事から始まるといえるので、まさに「はじめての」為ですね。

“部下を守り安心させる”といった項目も、単純に失敗の隠ぺいでなく報告すべき事項とその方策、及び、差別・セクハラ・健康管理・理不尽な顧客からも含め多角的に記されていました。

ここまでは、漏れが無い・そつが無い書籍といった感がありましたが、第3~5章においてが極めて現実的であると言えます。
 ・第3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム
 ・第4章 避けることができない9つの問題
 ・第5章 課長のキャリア戦略
詳細は目次を見ていただくとして、これだけ赤裸々に率直に記した内容には感動すら憶えました。
通常は、個人の経験によるもので偏狂な部分に陥ることもありますが、MBAと実務経験からの視点が、人間的な部分(性善説・性悪説)まで考慮されて、かつ、そのバランスに文句がつけようが無いといえます。

課長でなくとも一般社員にも必読の書籍といえるます。
ビジネス本はここ数年、勉強法・知的生産術が流行っていましたが、今後、本書に類似した書籍が続くのかもしれないと考えています。

【追記】
本書を絶賛したブログ“404 blog not found”では通常1回の書評が、時を置いて数回に渡って記載されました。
このブログでは、本書の内容を起点として小飼弾氏の考察へ発展していきます。
その記事も秀悦な内容と言えますので、参考にすれば視野が広がると思います。

今日も、ここまで、あなたの貴重な時間で、
“「本学」講座” をお読みいただき、有難うございます。 

2008/2/17 日曜日

ちょっとアホ!理論 出路雅明(著)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 19:51:16

表紙だけを見れば決して、読まない本でしょう。
事実、最初に書店で目にした時は購入しませんでした。

経営コンサルタント 西田文朗氏や、日本一元気な書店 「読書のすすめ」の清水克衛さんが紹介していたので読んだ次第です。
2006年の出版本ですが、今でも時折、書評・紹介されています。

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( 目 次 )

まえがき
第1章  「ちょっとアホ!」への道のり
第2章  「ちょっとアホ!」への変身
第3章  「ちょっとアホ!」の浸透
第4章  「ちょっとアホ!」の快進撃
第5章  「ちょっとアホ!」の定義
第6章  「ちょっとアホ!」の目撃証言
第7章  「ちょっとアホ!」の成長

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( 内 容 )

human forum HP
やる気伝道師 日記

たったワゴン1台で始めた古着屋でしたが、7年で35億の会社に発展。
やる気と根性だけで楽しんできました。

しかし、35億達成して、その頃は業績もまだ順調であったが、
不安でいっぱい、自分にも不満でいっぱいで「やる気」がなくなっていた。
危機感より、内観セミナーに出席して何故かを求め、「隠居じじい」になっていた事を悟る。

隠居じじい = 燃え尽きていた … という事に結論づいたわけですね、出路氏は。
で、ここからもがいて、もがいて頑張って、業績やその他がよりよくなった! … といった経験本ではありません。

業績も少しづつ悪化していきはじめ、ここから約2年間、出路さんと社員たちはチャレンジしていきはじめます。
まず、この改革を進める前に、は生え抜きの幹部社員全員を集め、皆に率直に話してはいます。
(なにしろ、安定期にはいってからはプロ級になるぐらい、釣りばかりしていたそうですから。)

そしてチャレンジですが、内容は下記のとおりです。

・ビジネス・自己啓発本を読みまくった。
・セミナー・講演会があれば、すぐにいって学ぶ。
・必要性を認識し、経営理念を作る。
・社員教育にも着手
・毎週幹部会議を開催
・週1回 幹部社員と報・連・相ミーティング
・主要社員で、月1回の中長期経営計画策定会議
・流行りのマーケティング理論の勉強と導入
・オリジナルブランドの企画開発
・生産ルートの開発(国内・海外ルート)
・トレンドを見据えた新規コンセプト・ショップの立ち上げ
・安定経営の為、多角化を目指し新規事業の導入
・ロイヤリティー向上のため新規ブランド獲得
・顧客囲い込みに必要性から、顧客管理システムの強化
・迅速な商品の動きをつかむために、商品管理システムの導入
・同じく営業システム強化
・財務状況の的確な把握のため、経理部の強化
・正当な評価の必要性を感じ、人事考課システムも導入
・組織力強化の組織改革・人事異動もしばしば行う
・社員との飲みニュケーション

数ページに渡り書かれ、この時代のあがきが伝わってくる内容でした。
出路氏も苦しんでいる様子、心境がひしひしと伝わる内容でした。

しかし、打つ手は全て失敗し業績は悪化の一途をたどっていったのです。

もがきの2年のあと、倒産の危機。
売上はあがらず、在庫は増えて粗利は下がり、利益効率悪化、何故か経費は増大。
信じられないぐらいに速いスピードで悪化し、加速していく。

「まさに会社はこうやって倒産していくだな」といった感じでした。
偶然の売上など「運」で持ちこたえていたが、最後は「運」にも見放され本格的にやばくなってきた。

創業から9年で、4~5年かけてすこしづつ蝕まれて、最後の半年で崩れ堕れさろうと …
すでに「もがきの2年」で手を尽した感があり、なにをやっていいかわからない出路氏。
で、体と肝っ玉には絶対の自信があった出路氏も、経営責任の重圧から胃潰瘍となる。
もう、この辺りは「弱り目に祟り目」とはよくいったような不幸な状況が他にも書かれています。

ここまで来て、出路氏は3年前と同じく、社員に倒産しそうな状況を話す。
苦しい状況で皆で頑張ってきたが、状況は苦しいまま。
そして、考えを改めて、楽しく生きて行こうと。
キャッチフレーズは「ちょっとアホ」「スーパーサイヤ・アホ」

真面目に会社経営していると自負する人にとっては、ふざけていると見えるでしょうが、
「楽しく」の本当に意味は、この後の活動まで知って判断すべき部分ですね。
私も最初はここでも、少しは?でしたが。

最初に出路氏がやった事は、楽しいで最も大切な事=笑顔

いつもニコニコ笑顔になった!
元気に明るく挨拶するようになった!

実は出路氏は、厳つい顔で笑う事が大の苦手の為、家のいたるところに鏡を置いて笑顔の練習。
そして、新しいアイデアを実行。
いくつか書くと …

・社員全員での経営計画総会を、「やったるで総会」
 各社員が「ちょっとアホ」を視点に、「やったるで目標」を発表
 表彰会・賞の内容も同様な視点で立案
・「もがきの2年」で作成した経営理念とは別に、もう一つ「明るく、元気になる経営理念」を作成し唱和する。
・社内報を作成
 え~、実物をお見せできなのが残念ですが、社内報というより学内報みたいです。(笑)
・楽学塾 
 段階別の社内研修で朝10時から、夜の部を含め朝3時まで。
 夜の部は当然、飲みながらですが、昼の部も堅苦しくないシミュレーション・ゲーム等です。

この後、固い言葉でいえばマーケティング・販売なども同様の考えで変えていき、快進撃の始まりです。

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本書のこの後は、様々なアイデア、社員からのメッセージ、出路氏の成長の軌跡「人との出会い」「本との出会い」etc …とかなり濃い内容が続きます。

ちょっと色もの・劇薬的な本ですが、本質は極めて真面目で理にかなっています。
表紙のみならず、内容を読んで誤読されない為には、西田文朗氏の著作を前もって読んでいるほうがいいでしょうね。

 … と書いて締める予定でしたが、キモだと後押しする内容を紹介して終わります。

出路氏が、V字回復の為に開き直ったのは、西田文朗氏の「面白いほど成功するツキの原則」との事です。
ホテルのセミナールームを借りきって、朝から晩までかけて、「本を1冊使ったセミナー」を行ったと。
ここは、最初に読んだ時に見落としていました。

「面白いほど成功するツキの原則」の理論と、出路氏の実践を知って初めて「V字回復」の真の姿が見えます。

今日も、ここまで、あなたの貴重な時間で、
“「本学」講座” をお読みいただき、有難うございます。

2008/2/5 火曜日

「親のようにならないが夢だった」 加藤秀視(著)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 1:06:41

家庭内暴力から逃げるように、力を求めて、強くなれば母や弟を幸せに出来る。
喧嘩で名をあげ、暴走族総代になり、裏社会の組職員へ。
人を騙し金を巻き上げ、シンナー・覚せい剤に溺れる日々。

やがて訪れたのは裏社会のトラブル、後輩の殺人事件、仲間の死、会社経営悪化など
絶え間なく続く苦しみの出来事でした。

著者が辿ってきた道のりです。
その時に耳にした言葉

「良い種を蒔けば良い実を結び、悪い種を蒔けば悪い実を結ぶ」
これは聖書の言葉です。
過去を振り返ると、今まで悪い種しか蒔いてこなかったことに気がつきました。

裏社会から抜け出し、起業経営・慈善事業家となった著者の変遷が赤裸々に描かれた本です。

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 ( 目 次 )
プロローグ

第一章  暴力と添寝した子ども時代
第二章  喧嘩で名を上げ、暴走族へ
第三章  暴走、しのぎ、喧嘩、酒
第四章  オモテの世界で起業する 
第五章  裏社会から抜け出す苦しみ
第六章  表社会の「道を極める」
第七章  真実の愛を知る

エピローグ
あとがき
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 ( 内 容 )

第1~3章は、幼少時から裏社会へ進んでいく過程が書かれてる。
暴走行為から逮捕され、留置所でみた人々をみて、表世界で起業する事を考え始める。
第4・5章では裏稼業と表の実業を行いながら、最終的に裏稼業から抜け出す迄が描かれている。

読み終わって再読して思ったのだが、この第1~5章は著者の心境を読見込んでおくべき章である。
ここでの転落が判らなければ、第6~7章での再生の意味が深く感じられない。

○第六章  表社会の「道を極める」
表社会で起業するも、どうやって成功すればよいかわからぬままいる日々。
頼る人間もなく、相談できる人間もなく、孤独であった。
ある日、会社に出入りする保険営業の男性より、自己啓発のCDを渡される。

「人生の辛いことは、すべて経験なんです」
「人生は選択で作られます。今ある事は過去の選択の結果なのです」

― へぇ~、こんな考え方もあるんだ。すげえな。
  今まで、辛いことはすべて他人のせいだと思っていたし、人生は暴力で切り開き、権力で操るものだと思っていた。
  選択って洗濯じゃないしな。 … それで人生が作られるってどういうことだよ。
  何をどう選べばよくなるんだろう?

初めて、自己啓発系の話を聴いた時は誰であっても、ある種意味不明であるだろう。
加藤氏は、このあとすぐに著者に電話して講演・講習している事を知り、すぐに出席する。
しかし、初めて耳にする言葉でチンプンカンプンの様子が描かれている。

ビジョン?ビジョンってなんだ?バイクの事か?
プロセス? 目標達成のためにはプロセスからお金を借りないとならんのか?
  … あれは、プロミスだったんじゃないかな? あのおっさん何言っているんだろう。

この後、数多くの勉強会に出席していった。
心理学、トレーナー研修、人材教育、コーチング技術、講習会・勉強会・セミナー。
それを通してだんだんと理解していった。

人をマネージメントするって事は、力で押さえつけて支配する事ではないんだな。
裏社会では権力・恐怖などで人を縛りつけていたけど、一般の社会では、
信頼とか感謝とかそういうことが人を結びつけていくもんなんだな。

○第七章  真実の愛を知る

だんだんと堅気の人もそれぞれに苦労を抱え乗り越えてきた人だと思えるようになってくる。
服装・振舞も変えていく。

つばを吐かない、ゴミのぽい捨てをしない。
喫茶・飲食店の従業員の人には「ごちそうさまでした」、「どうもすいません」
その他言葉使いも「たいがいにせいや」「おい、こら」を禁止して、「お手数おかけしますが」
「~していただけませんか」「恐れ入ります」と変えていく。
今まで使ったことのない「ありがとうございます」を使って、はじめて生かされている事を感じる。
書き方がわからない、感謝と言う言葉を、何度も何度も携帯電話に打ち込んで憶えていく。

数奇な生き方から、ある日講演を頼まれ、一生懸命話す事により与えることを知る。

今は、いくつもの活動している著者です。
「人は誰でも、いつからでも変われる。」

最後に著者の「人生目標の三つ」
 1.若くして法を犯した少年少女の再犯率をゼロにする事
 2.学べる環境を作る。
  (心、食、経済、時間、家族愛、隣人愛、郷土愛、祖国愛、感謝、夢の持ち方・かなえ方)
 3.自殺者を減らす事

加藤秀視 official website : http://www.winlimited.net/
『人間力倍増ブログ』      : http://blog.livedoor.jp/success_win_win/
japan 元気塾          : http://www.japangenkijyuku.com/index.html

今日も、ここまで、あなたの貴重な時間で、
“「本学」講座” をお読みいただき、有難うございます。

2007/12/9 日曜日

学校の勉強だけではメシは食えない!―世界一の職人が教える「世渡り力」「仕事」「成功」の発想  岡野 雅行(著)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 20:07:23

テレビでもよく見る「カリスマ職人」・「中小企業の星」の岡野雅行氏の著作です。

経歴 Wikiより

金属深絞り加工の世界的職人として知られている。
従業員数6人の東京都墨田区の町工場でありながら、
世界の大企業やNASAなどに注目され、
   製品が次々に採用される実績を持つ。
講演、著書多数。 2004年旭日双光章受賞。

話しが上手く、面白い視点の話が頻繁に出てきて、
          固い頭をガンガン叩かれたようだった。

金型のみならず、人の頭も「美しく機能的に」する伝説的職人ですね。

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 ( 目 次 )

まえがき  もっとはみ出して、人のやらないことをしよう! 
1章     「人間関係のカラクリ」がわからないキミたちへ!
2章     「自分の夢のかなえ方」がわからないキミたちへ!
3章     「どんな仕事についたらよいか」がわからないキミたちへ!
4章     「成功するためのプラスα」がわからないキミたちへ!
5章     「アイデアの出し方」がわからないキミたちへ!
6章     「人生の壁の乗り越え方」がわからないキミたちへ!

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 ( 内 容 )

「亀の甲より、年の功」ですが、しかし、老人ではありません。

「世渡り上手ってのは、ずる賢いんじゃない。
いい関係を作りながら、
  しっかりと自分を主張できるということなんだ。」

「何か人にしてもらったら、四回はお礼を言いなさい」
  直後、翌日、翌週、翌月

先人の知恵です。 
直後、翌日のお礼は、すんなり出るでしょうが …

社員旅行は海外旅行で、家族まで連れていく。

豪勢な話で、いい会社だなと安直に思ったところで、次の言葉です。

行くのは開発途上国ばかり。
貧しい国で、一生懸命働いている人達を見て帰ってくるわけだ。

強烈です。 さすが岡野さんといった感じです。

そして、今回、最も新鮮だったのは …

ハイテクがすごいだなんて言うなよ、
  さらに凄いのはローテクなんだから

 これ以上、変わりようが無い完成した形を「雑貨」って言うんだよ。

ハイテク産業を支えるのはローテク部品なんだ。
これを作れる人がいなくなると、理論上可能でも、作れなくなる。

読み進めば、目から鱗が … 状態。
今までも、著作は数冊出版されているはずですから、
 過去の著作も読むべきだと思います。

有名なのは、テルモの痛くない注射針ですが、
同じぐらい感動したのが、40年前に作った鈴です。

この鈴が、特許が切れてもマネできないのも、凄すぎる。

こういうものを、本物の特許と言うんだよ

ローテクでも誰もできない事は、
  それこそが、「知恵」すなわち、ノウハウですね。
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8時から5時までは、親父の下で働き
5時から深夜までは、自分の仕事をする。

週に2~3回はジェットストリームを聞きながら、
水戸街道を車で走って~
こんな生活を10年続けたよ。

今日も、ここまで、あなたの貴重な時間で、
“「本学」講座” をお読みいただき、有難うございます。
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2007/11/4 日曜日

スターバックス 5つの成功法則と「グリーンエプロンブック」の精神 ジョゼフ・ミケーリ(著)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 5:01:15

“まえがき” の第1行目から、社長の言葉とは思えない”強烈な文言”で始まる。

わたしたちの仕事はごみ集めだ。
(中略)
わたしたちはスターバックスのパートナーだ。
(世間では従業員と呼ばれる)

スターバックスについて、当社の企業文化について話す時は、いつも、
わたしたちの仕事はごみ集めだということから始める。
(中略)
これがスターバックスだ。
従業員の雇用や事業を成功に導く魔術の法則などないのだ。

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( 目 次 )

まえがき        米国スターバックス社社長 ジム・アリング
はじめに     
法則1   独自の経験を作る
法則2   すべてが大切
法則3   嬉しい驚きを作りだす
法則4   反対意見を受け入れる 
法則5   足跡を残す
おわりに  
手引き
日本語版 特別インタビュー
       日本のスターバックス 成功の理由

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( 内容に関して )

この本の著者、ジョゼフ・ミケーリ氏は”まえがき”で、
スターバックスの成功を、「スターバックス経験」という一言に凝縮している。

「経験こそがスターバックスである。」

そして、「スターバックス経験」を二つの段階に見ている。

1.経営陣が作り出す「スターバックス経験」
  パートナー(従業員)の為に独自の企業文化を築き上げている。

2.パートナー(従業員)が作り出す「スターバックス経験」
  お客様の為に、独自の経験を作りだしている。

本書の目的は、これらの「スターバックス経験」とは、
どういうものかを考えることであり、これらは5つの法則になっていると。

すべては、「スターバックス経験」を作りだす為である。

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●法則1   独自の経験を作る

効率化を最優先事項としては、パートナーの個性を生かす事は難しい。
マニュアル化した顧客サービスでも難しい。
そのための方策として、「大切にする5つの気持ち」を重視している。

・歓迎する
・心を込める
・思いやりを持つ
・豊富な知識を蓄える
・参加する

これは、スターバックスのサービス理念の礎となっており、
『グリーンエプロンブック』として社員に配布されている。
(その名のとおり、エプロンのポケットに入る手帳。)

有名な『リッツ・カールトンのクレドー』と同じく、企業理念のシンボルですね。

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●法則2   すべてが大切

ここでは、次の一言に集約されている。

「リテールはディテール(小売業は細部に気を配ることが大切)だ」

このディテールとは、商品・品質・店舗環境・社員研修・遊び心がある文化・
社会的良心・お客様・パートナー、全てである。

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●法則3   嬉しい驚きを作りだす

人は日常的な経験においても、心を動かされることを望み、それを期待している。

お客様だけでなく、同僚やその他の人に対しても、喜びをもたらす事を考える。
これは、企業人としてのみでなく、全人格的なものを求めるものである。

失敗に際しても、正しい対処でお客様に喜ばれようとあったのが、非常に面白かった。

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●法則4   反対意見を受け入れる

ここでの反対意見とは、下記のような様々な例が出てくる。

・お客様からの苦情・苦言
・ウェブ上のゴシップ
・国家間(第三世界のコーヒー栽培者、他国への進出)
・出店時の地域住民より
・店舗内のパートナーから

これらに対する方策は、ひたすらに対話と行動であると。

負かすのではなく、仲間になる事が重要である。

また、問題発生時の対処も同様であり、基本的な考えをまとめている。

自然に存在するものは、抑えつけようとする力に逆らって成長する

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●法則5   足跡を残す

スターバックスのCSR(起業の社会的責任を担う)活動は、社会奉仕活動でなく、経営手段へと変わってきている。

社会的責任とは「足跡を残す」ことであり、その活動は、信用できる企業として、従業員、投資家、顧客、納入業者、地域社会に信頼されることである。

こうした発言が現実になされている顕著な例として、下記が紹介されている。

・週20時間以上働くすべての従業員に対して健康保険を適用する。
・ある基準に達したコーヒー生産者は、プレミアム価格で購入される。
 (競合他社より高い価格)

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“おわりに” では、読者に対しても 「スターバックス経験」を求めている。
その為に、”手引き” という章まで用意されている。

おめでとう!あなた自身の経験がまっている。

あなたがこの本を取ったのは偶然ではない!

今日も、ここまで、あなたの貴重な時間で、
“「本学」講座” をお読みいただき、有難うございます。

2007/10/28 日曜日

成功のコンセプト 三木谷浩史(著)

Filed under: 経営・経営者 — morinaga @ 21:54:35

“はじめに” の部分から一気に引き込まれた。経歴は超エリートと言える三木谷氏だけあって、実に明確にまとまった内容と言えます。 が、それ以外の部分も、実に面白い。楽天の創生期、商店街に訪問時のエピソードが表現している。

  走り回り、腕立て伏せをして、汗だくで息を切らせて、
  目的の商店を訪問する。
  みみっちいパフォーマンスだが、真剣さを伝える為には、
  そこまでしなければ話さえも聞いてくれない。
  それが現実だった。

エリートがエリート然として成功するのを見聞きすれば、知性や戦略に感嘆する。しかし、エリートがエリートらしからぬ泥臭い地点から、這い上がってくる話は感動と夢が見える。

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( 目 次 )
はじめに     
第1のコンセプト    常に改善、常に前進
第2のコンセプト    Professionalismの徹底
第3のコンセプト    仮説→実行→検証→仕組化
第4のコンセプト    顧客満足の最大化 
第5のコンセプト    スピード!! スピード!! スピード!! 
おわりに  
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( 内容に関して )

この、”はじめに”では、冒頭のエピソードのみならず、印象に残る話が続き、本当にシンプルな “はじめに” でありながら、行間から多くを感じた。

  ・1995年の阪神・淡路大地震で悟った事、「無常」について…
  ・楽天の成功を幸運と呼ばれる事への答えとして、「幸運はチャンスと準備の交差点」という、的確な英語の諺で表現している。

●第1のコンセプト    常に改善、常に前進

ここでは、企業戦略を2つに別けて説明している。

 1.ダーウィニアン・アプローチ (グーグル等)
   種をばらまいて、元気の芽を出したものだけを育てる。
 2.改善モデル (楽天)
   改善が前提。 改良しながら勝つまで続ける。

英語の辞書にも載っている、KAIZEN(カイゼン)。日本より発生したこの手法に、絶大な信頼を寄せている事がわかる言葉が続く。日本の「カイゼン」に、力を込めて記している事は、なにか嬉しさを感じる。

 改善とは絶対的に成長する方法なのだ!
 未来へのビジョンを信じて、改善を行っていく
 改善は凡人が天才になる方法 

●第2のコンセプト    Professionalismの徹底

プロフェッショナルに関する三木谷氏の定義は、まさに経営者的と言える。三木谷氏の定義では、知識・技術・実績を超えたものが必要条件だからである。

  一般的には、素人のかなわない特殊な技術を持つ人と  いうことになるのだろうか。   僕のいうプロフェッショナルとは、1日24時間、1年365日、  どこにいても、何をしても仕事の事を考えている人だ。

そして、予想外の言葉も出てきた。

  プロフェッショナルに不可欠なのは、技術よりも成功体験だ。  困難な目標に立ち向かい、達成した喜びが、  人を本当の意味でプロフェッショナルにするのだと思う。

正直、この発想はありませんでした。実に、現実を見据えた定義だと。

●第3のコンセプト    仮説→実行→検証→仕組化

この章におけては、フレームワークに言及している。

  自分の感覚や直感を、仮説よいう具体的なカタチにするには、
  フレームワークを理解しておく事が重要だ。
    (中略)
  ビジネスの世界では、フレームワークを現実の世界から、
  自分で発見しなければならない。

インスピレーションから、「仮説→実行→検証→仕組化」に展開させる前提としてフレームワークの重要性があると。 確かに、基礎的な受け皿を、あらかじめ準備していなければ、即時展開もできないであろうし、アイデアも消え去ってしまう。

  ビジネス書も貴重な参照資料となるが、既に記された内容は、
  誰かに具体的なビジネスに落とし込まれている可能性があり、
  自分で発見しなければならない。

これは、書評を記している人間には耳が痛い内容であり、IBM的には、「Think! Think! Think!」 ですね。 古いですが、「論語」の格言も思い出しました。「学んで思わざるは則ち罔(くら)し。思うて学ばざるは則ち殆(あやふ)し。」

●第5のコンセプト    スピード!! スピード!! スピード!! 

ビジネスに関する本では、必ずといっていいほど出てくるキーワード ”スピード” 三木谷氏も最重要であると捉えています。

  ビジネスの現場において、ある意味いちばん重要なコンセプトを、
  いちばん最後に持ってきたのにはもちろん理由がある。
  スピードはビジネスの勝敗を分ける重要なファクターとなる。

最重要項目はスピードである事を、最後の最後まで書き続けている章であるが、スピードとは違う概念をも十分に理解している。

  「ファーストムーバーズ・アドバンテージ」
         - スピード重視、早いもの勝ち。
  「ベストムーバーズ・アドバンテージ」 
        - 最も上手く展開したもの。
  どちらを選択するかは、時間軸を含めた四次元的俯瞰によって
  判断しなければならない。
  しかし、それでも、スピードは重要である。
  時間をかけたベストにも、達するまでの時間を
  最大限短縮できた者が勝者となるのだから。

●おわりに

“おわりに” では、三木谷氏の未来にかける思いでまとめられている。

  インターネットが変える世界はリアルそのものだ。
  そのリアルな世界のあるべき姿をしっかり心に描き、
  自分の信じる未来に貢献する為に、
  ビジネスに全身全霊で取り組む。
  それこそが、楽天の仲間全員の信念だ。

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最新のネット産業でありながら、日本古来の「三方よし」的発想。成功者でありながら、未来に賭ける青年のような熱さ。エリート的経歴ながら、知性ある腕力派であり、バランス感覚もよし。この本の副題 「Principles for success」にも深味を感じた一冊です。

今日も、ここまで、あなたの貴重な時間で、 “「本学」講座” をお読みいただき、有難うございます。

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